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イントロダクション
戦前、中国大陸や東南アジア各地に帝国日本を背負って多くの日本人が出かけていきました。そして、敗戦を迎え、命を存えた人々は身体一つで故国に還って来ました。外地から還って来た日本人は、それぞれの地に何を遺してきたのでしょうか。 軍国日本の加害者としてどのような痕跡を残し、被害者としてどのような惨劇に出会い、人間として生きようとどのような心を伝え遺してきたのでしょうか。
アジアの各地で、今も、戦時下に日本軍や日本人を通して受け継がれた軍国日本の魂をかいまみることができ、忘れていた懐かしい歌や日本語に出会うことができます。
このドキュメンタリーは、一日本人画家の戦地での生き様を見つめるドキュメンタリーです。支配者日本を背負って加害者として見せた顔、戦争に翻弄された被害者としての姿、人間として生きようと教え子たちと結んだ心の繋がりなどを見つめるものです。
そして、これまでにあまり語られてこなかった、普通の一日本人が戦争の中で遺した負の遺産から学ぶべき責任を見つめてみようとするドキュメンタリーでもあります。
そうした視点からこそ、日本が、日本人がアジアとの間に友好と平和を築き上げるための信頼関係を回復する一つのてがかりを見い出すことができるのではないでしょうか。
中津義人
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